2016年9月9日金曜日

101日目:学校

(ここかぁ。到着っと)

今、研修に行っている勤務先から目と鼻の距離にある高校へ着いた。

「こっち、こっちー」
案内をされた先では、片手を振って待っている先生。


高校時代の2年、3年の時の担任。
卒業から18年経った今。
唯一いまだに交流のある方。

通された部屋は、『校長室』。

「失礼します」

何故だか・・・
校長室に入るときは背筋がシャンと伸びる。
久しぶりに感じる『学校』という青春の空気。

「先生、ホントに校長先生なんだ。それにしても校長室って広いわ」

室内は、会議用の椅子が20脚ほどと大テーブルセット。
校旗、歴代の校長の写真、豪華な接待用のソファー。
最奥に『校長』の鎮座するデスクセット。

私の言葉は浮いて宙で散った。

「おぉ、久しぶり!」
「いや、先月飲みに行ったばっかりですよ」
「だな~。で、今日は何しに?」
「研修先が隣だったから、寄っただけです」


「お客様とアポが取れたので、寄ってから直帰します。内容は年金の相談です」
会社先ではそう伝えているが事実無根。

フラっと来て、ただ会いに来ただけと思わせといて、重要事項を伝えに来た。

「先生、例の話。日程が決まりました」
「そうか!いつ?」
「飲みの時に話した12月30日で決まりです。今のところ僕が連絡を取れる人数は約半数の23名ほど」
「おーう」
「今の所、私の連絡先を拡散してもらっているので随時増えるかと。後は10月下旬ぐらいから11月中旬で参加申し込みを受け付けて、場所の予約に入りますね」
「わかった」
「何か、先生から要望とかあります?余興とか、こんな風にしたいとか」
「んー。まだ考え途中なんだけど、妻も誘おうかと思って。事実、職場での退職祝いとか妻が付き添っていたりするし。今の私があるのも、妻の支えやアシストのおかげだし、こうした教え子たちにも会ってもらいたいし」
「それはいいですね!僕たちの年代では体験するであろう退職の話。是非聞きたいし、お二人が並ぶ姿を見たいです。是非、参加要請をお願いします」
「許可がでればね」
「いや、強制でお願いします。そういう種を撒いたほうが参加率も増えるでしょうし」
「なるほど」
「感覚で言えばざっと15人程の参加予定でしょう。ただ、まだ拡散段階なので増えれば40人を越える可能性もあると思っていて下さい」
「50人行くとホテルとか?」
「ですね。それも視野に入れてます」
「嬉しいね~」
「いや~、先生の還暦祝いならやれるだけやりますよ」


そう。
実は、還暦祝いの打ち合わせに来た。
仕事上では面談人数に入れるけど。

今回の還暦祝い。
主に私が中心だが、高校時代の相棒と二人で幹事を行っている。
主催は2年時のクラスで行う。

私と相棒は高校2年時でクラスが一緒だった。
かなり仲が良かった。
悪い事も沢山やってきた。

3年に進級時、学力は等しくもクラスを切り離され、お互いが各クラスの学級委員長だった。

切っても切れない縁なのである。


それをまとめていた今の校長先生。
先生とも切っても切れない縁であり、師である。
還暦祝いとなれば各地に散らばったクラスメイトも帰ってくるだろう。
帰りたいとの声も聞く。

だから、必ず成功させたい。
喜ばせたい。


奮い立つ心中で校長室を見渡す。

『志操は高く 品格のある青年 学徒たれ
易きにつかず 学道に専心せよ
共励切磋 和して同ずるなかれ
自主自律 責任を実益せよ
積極貢為 自ら運命を開拓せよ』

ふと目にした言葉に読み入り集中してしまった。

「いい言葉ですね。あるべき姿ですね」
「五条な。いいだろー。これが今の若い子たちには足らん」
「ん~。多分、高校時代にこれを見ても意味なんて分かりませんよ。今なら痛いほど分かりますし、そう在りたいとも思えます」
「これを子供にも繋いでいってくれ」
「はい」

決めるのは自分。
選ぶのも自分。
人生は選択の連続。

自分で考えぬき実行できる力。

少なからず、私は考え抜く。
そして、出切る範囲で実行したい。


学校は、いくつになっても学校だった。
35歳の私。
小一時間。
校長から直接授業を受ける。

やはり恩師。
いつまでも先生は先生だ。

伝えていきます。
生き抜く力を。

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