なんとな~く昨日やってしまったギックリ腰を引きずり、後ろ髪を惹かれる思いで、後方を振り返る。
空一面、大輪の花で埋め尽くされていた。
ミュージック花火の真っ最中。
これが見たかったのに。
私達は会場から帰ろうとしていた。
『第29回やつしろ全国花火競技大会』へ出動。
何回目だろう。
10回は見に来ている。
そして、毎回、花火に魅せられて泣いている。
全国でも有名な花火師による競技大会。
九州では八代でのみ開催。
この花火大会が大好きだ。
花火を見に行くのは、近所のお祭りかこの『やつしろ全国花火競技大会』しか行かない。
『やつしろ』と比較すると他の花火大会と名する花火は屁に見えて仕方が無い。
新作の色や型物、菊や梅の数々の花達。
特に『ミュージック花火』が圧巻。
5箇所から打ち上げられる花火と音楽のアート。
これを楽しみに見に行くような小旅行のはずが・・・
13時過ぎ到着。
花火への愛情はおくゆかし。
既に会場は熱気で満ちていた。
今年の準備は今までで最高レベル。
冬直前の秋。
河川で迎える夜は凍えるほど寒い。
当たり前に各人ダウンジャケット、暇つぶし用の本等を準備し、今回から新たに簡易式テントとキャリーカートを装備した。
キャリーカートは移動が格段に良くなる。
簡易式テントは日中の暑さ、目線対策用に。
ベストポジションを陣取り、テント内でくつろぐ。
開始まで5時間。
待つ時間もパンフレットを見てテンションを高めていく。
開始1時間前。
ポツポツポツ・・・
小雨が降り始めた。
『やつしろ』へ行き続けて初めての雨。
雨対策は、傘の1本さえも準備していなかった。
スマホで天気を確認する。
降水確率30%。
30%でヒットですか・・・
市長の挨拶で全国花火競技大会が始まった。
小雨は、雨へと変わっていた。
その雨の中、延々と話し倒す市長。
長い。
無駄に長い。
周辺からも、
「長すぎない?」
の声が。
終わったかと思えば、「続けまして、御尽力を頂いた・・・」・・・長い。
やっと話が終わった後のフォローするアナウンサーは空気が読めていた。
聴いた事も無いような早口で説明し終え、カウントダウンが始まった。
本格的に打ちあがり始めた、雨天の中の全国花火競技大会。
空気が読めないのは天気と市長だけらしい。
妖怪ウォッチとのコラボ花火でムスメの寝とぼけた顔が覚めた。
ジバニャン、コマさん、ウィスパー。
しっかり花火で再現されていた。
でも、そこで限界だった。
全員ズブ濡れで、
「退却します」
の合図で片付けを終え、後ろ髪を引かれながらミュージック花火をチラ見することに。
近いは近いけれど、会場で見た方が迫力があっただろうに。
人、人、人、人・・・
退散陣営の長蛇の列。
ザワザワの中で切れ間無く聞こえる爆発音。
たまに響く、大爆音。
見とれれば確実に押され、こける。
踏まれれば、骨折では済まないだろうレベルの人の数。
(みんな蟻だったらいいのに・・・)
無心で立ち続けていたが、心の傷と闇が深く感じたのは久しぶり。
人の流れに身を任せて、ようやく穏やかになった頃。
風に乗って音楽が聞こえた。
きゃりーぱみゅぱみゅの『Crazy Party Night~パンプキンの逆襲~』をBGMにしたスターマイン。
中洲で立ち止まり、少しだけ聞こえる音楽に耳を傾け、花火を眺める。
魔女の帽子、かぼちゃのオバケ、オバケの花火。
抜群の再現力だった。
紫と橙とちょっとした緑が絶妙に合った『ハロウィンナイト』に感動して前を向く。
「来年は、リクライニングベッドでも持って行くか?」
負け惜しみの言葉がつい出てしまった。
後ろ髪は綺麗に切り揃えてあるけれど、無駄に生えているような気がした今年の『やつしろ全国花火競技大会』。
来年はリクライニングベッドとカッパを装備して行くから。
0 件のコメント:
コメントを投稿