2016年6月5日日曜日

5日目:万事屋戻り

「kootさんはプロのカメラマンですよね?」
「は???」
突然問われたムスメの園の保護者からの質問だった。

「金髪にされたり、よくカメラ持って色んな子供達を撮ったりしてるものですから。」
「は、はぁ。たしかに写真は撮りますねぇ・・・」
「やっぱりカメラマンでしょ?」
どこがどうなって俺は篠山紀信になるんだろ・・・?
ってか、えーーーー?

「いやぁ、今は何もしてないシガナイ万事屋ですよ。」
「そうですかぁ。でも写真は撮るんですよね?」
「まぁ、それなりに。」
「あのぅ、お願いしたい事があるんですが・・・」
「はい・・・?」


5月中旬。
突然頼まれた篠山紀信(仮)の仕事。
ふうせんバレーの大会の試合や表彰等の写真撮影の依頼だった。
そこらへんの公民館であるような、ほのぼのとしたバレー大会だと思っての事。
アマでもOKという事で、快諾してみた。
勿論、ギャラナシ。
ボランティ~ア~だ。

どうすれば、笑顔を引き出せるか・・・
どうすれば、脱がせられるか・・・

約3週間考えてみた。

つい先週、大会のパンフレットを貰う。
「第21回九州ふうせんバレーボール交換大会IN鹿児島」・・・!
ネットで検索してみたら分かるはず。身体障害者用のふうせんバレーという競技の九州大会in鹿児島アリーナ。
それのカメラマン。

ガチだ。
マジだ。
なんてこった。パンナ・・・

しかも、カメラマンは俺だけ。
マジすか!?


オープニングはグリブーの華々しいダンスから始まった。
頼んでくれた保護者の娘とうちのムスメがグリブーと並んでダンスする。

おぉ。
滅多にない光景をパシャパシャ・・・
これもまた思い出なり。

ネームプレートをつけて堂々と審判の横に陣取り、必死にプレーする選手の笑顔を、プレーを撮りまくる。
10コートを走り回り、シャッターを切ること、350枚程。
1日でこんなにシャッター押した事はまずない。
取り合えず「数打ちゃ当たる」作戦。
プロはまだまだ沢山撮るんだろうなぁ。


ふうせんバレー。
その名の通り、ボールはふうせん。
中に鈴が入っていて、盲目者でも大体の位置が予測できるようになっている。
cアタックすると、たまに車椅子に当たり破裂。
どこかしこで破裂している。
アタックラインも決まっており、通常のバレーは3回のパスを回せる、ふうせんバレーは10回までパスが回せる。
しかし、ノーパスで相手コートに返すとファウルになり、相手に得点になる。
ブロックがない事を除いては、他のバレーのルールと同じ。

初見だった。
ルールの説明は聞いてないけど、見ている限りでこんな感じだと思う。


「ふうせん」という言葉で舐めていたが、競技部門の決勝戦は圧巻だった。
さすが、九州大会。
障害者がいようと、車椅子がいようと関係ない。
完全な競技だ。
ふうせんが走る走る。
アタックもドロップをかけないとホップするから、上級者は手首を下から上に回転をかけるように打っていた。バレーのジャンプサーブみたいな感じ。フローターで打つとホップする感じ。

ふうせんの速度に着いて行く健常者。
それをフォローする、障害者。
ふうせんの速度に着いて行く障害者。
それをフォローする、健常者。

彼らに「障害」という垣根は見つからなかった。
同じ土俵に立つスポーツマンだった。


本当に凄いとしか言えないプレーに圧巻されながら、ひらすらにシャッターを切り続けた。

そして、最悪の事態。

パンピーは電池2個持ちとかはしない。
ジャパネットTAKATAとかで買えば電池2個付きとかなんだろうけど。
電池残量を確認、昼食で充電しながら撮影を続けたが最後の最後で電池切れ。
表彰までは撮れたけど、選手退場まで撮れなかった。

無念。

一応、抑えるべきところは抑えたつもり。

でも万事屋として、名が泣いた。

電池2個、欲を言えば望遠レンズが欲しいと感じた今日の九州大会。

頼んでくれた保護者の方。
依頼してくれてありがとう。
写真の出来次第では、またのご来店をお待ちしております。

新しい世界が見れた事。
今日の報酬は温かい。

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