けど。
※以下、固有名詞はフィクションです。
うちの会社の御用達のレンタカー屋さん。
バジさん。
突然の男性1名、女性1名のバジさんの来客対応する事に。
トップは外出、上司は電話応答の為、自分が誘導させて頂いた。
「こちらの席へどうぞ~」
このぐらい楽勝だ。
「koot?」
誘導する背後から突然、か細い声で投げかけられた俺の名前。
「え?」
振り向きざまに動揺が表に出まくる。
「俺だよ。タローだよ」
「は?タロー。って。え!?御用達のバジさんってタローん所?!」
「うん。ってか、日記見てて働いてたのは知ってたけど、ここだったんだ笑」
「あ、うん、そーなんだって」
「え?知り合い?」
先輩から声が飛んでくる。
「はい!中学校の同級生です。」
間をおいてから、お決まり的に。
「え゛------!!」
社内はザワザワの渦の渦の渦の中へ。
上司も直ぐに電話を終え、
「koot君、話ししていいよ」
はい喜んで。
対応をぶん投げられた。
「一応、社会人になったから。はい、kootです。よろしくお願いします」
「えーマジかぁ。良かったね。タローです。よろしくお願いします」
「私もよろしくお願いします」
2対1で名刺交換を行う。
「あー本当に保険屋さんなんだ」
「マジで。いや、こっちもビックリだって。ここの会社の代車とか送迎とか全部バジさんでしょ?」
「あー、バジっていうか、俺ね」
「マジでか?!」
「先週ぐらいはほとんど携帯の着信履歴は、所長、社長、事務所だったよ」
「うへぇ~。ごめんねぇ。ありがとう。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ。へぇ~。あの日記さ、たまに読むんだけど、アレって文才なの?」
「いやぁ、まだまだ下手糞だよ」
「日記書かれてるんですか?ブログみたいな?」
「そうなんです。昨年から毎日書き続けているんです」
「毎日?!へぇーーー!」
「たまにオタク入りすぎて分かんないけど。今、何日ぐらいだっけ?」
「トータルして240日ぐらいかなぁ」
「へぇーーーーー!」
「アレ、伝記になるって」
「ならないよー」
(なって欲しいと思った)
上司の仕事も一段落終え、席に着く。
「同級生だったんだねー。世間って狭いわ。これからはうちの新米エースもよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「それは胃が痛いです」
「バジさんには、タローさんには大変お世話になってるいるので、こちらもよろしくお願いします」
上司は手際良く挨拶を済ませ仕事へ戻っていく。
所謂、自由時間だ。
何分話したかな。
何時間だったかも。
地元人、シューちゃんのこと、ノブさんのこと。
只、エリアの挨拶周り、5分で終わらせる予定だったタロー。
予定は未定。
一度繋がれば友達。
友達は何年ぶり、十数年ぶりに会っても直ぐに心の扉は開く。
全開してしまった扉は閉まることを知らなかった。
心配されてた自分。
現実に戻ってこられた自分。
「本当に良かった」
タローに何度も言われたその言葉。
楽しく話しながらも涙しそうになった。
友達には、世間の狭さにはクソお世話になってる。
日常の中の小さな奇跡。
出会いにありがとう。
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