15日目：ホクホク

よく作る大きいたこ焼き。
以前紹介したメニューだ。
うちでは定番メニューだから2週に1回のペースで食卓を飾る。


「これ、ホクホクでおいしいよね～♪」
「いや、それアツアツでしょ。」

俺のメガネはたこ焼きの湯気で曇っていた。

妻、ムスメ。共に熱いものは苦手だ。

「いや、ホクホクでおいしいの。」
「いや、アツアツでおいしいってのもあるんだって。」
「だーかーらー、ホクホクなの。」
「あぁ、そうですかぁー。」


ぐびっぐびっ。
喉ゴシ爽やかな、麦茶を飲む音がムスメの喉元から鳴る。

「よく、麦茶飲むね～。」
「だって、熱いんだもん。」
「熱いんかい！？」

刹那。

「あーーーーーーー！」
絶叫するムスメ。


ホクホクをアツアツだとばれたくなかった瞬間の隠蔽技。
さすが、ムスメ。
逃げ方が上手い。