2016年11月13日日曜日

166日目:宴の終わりに

2016年11月12日。
165日目。

初めて日記を書けなかった。


書くより幸せな時間を過ごした。

東京の街にやってきた。
相変わらず狭い空気が苦しくさせる。

外回り用の鞄に換えの下着とシャツ類だけを放り込み1泊2日の小旅行。
軽装備にジャケットで乗り込んだ。

ジャケットはミスチョイスだったらしい。
思った以上に暑かった。

127日目の日記「贈る言葉」を叫ぶ為に、親友と再会する為に。


挙式。

赤坂。
綺麗な街並み。
豪華。
テレビで見るのと大差ない素敵を詰め込んだ光景だった。

氷川神社。
肌で分かる荘厳明確な社。

そこで挙げる式。
新郎、新婦。
恰好良かった。

そして、どうでもいい事に気付いてしまった。

何故か新郎の身長が伸びていることに。

「あいつ、あんな身長高かったん?」
「いや、伸びたんちゃう」
「どうやって?」
「『ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドゥ。ターラッタラター、ターラッタラター、ライザップ』のおかげやろ」
「うそん」
「こう回りながら、『ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドゥ。ターラッタラター、ターラッタラター、ライザップ』ってしたら、あんなん伸びるんちゃうん」
「そう言えばあいつ、猫背にも程があったしな」
「それプラスでライザップやったら、伸びんで」
「やってみようかな」
「やったらあそこまで伸びるんだったらやろかな」
「ちょ、今やってみー」
「『ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドゥ。ターラッタラター、ターラッタラター、ライザップ』」
「伸びんへんなぁ」

鹿児島出身の私、プラス関西出身の3名。
合計4人の大人が鎮守な空気をぶち壊し、爆笑を必死で押さえ込む。

この時点で、腹筋が割れ、顎が軋み始めた。


披露宴。

前日にLINEで新郎からお知らせが来ていた。
「披露宴開始後30分ぐらいからスピーチお願い」
「多分、引くから」

新郎新婦の代表挨拶から始まり待機。
乾杯を挟んで、待った。
飲んで、待った。
笑いすぎて、飲んだ。
飲んで、笑って、待って、1時間経過。
私達のテーブルだけ、テンションが明らかにおかしい事に気づく。

最大7、8年以来の再会なのに、いつも通り。

「そう、kootおかしいんやって」
「ん?」
「俺ら会うのって5年ぶりやろ」
「あぁ」
「羽田で待っとってん、第一ターミナルと第二ターミナルと別れててん。そいでな、道が分からん言うから、俺が第一ターミナルで待っとくからこっち来てって連絡して、来た時の第一声がな『カレー臭がめっちゃするな』って。どう考えてもおかしいやろ!そこは『めっちゃ久しぶり』とか言うのかと思てんけど、そこで『カレー臭』とか出す?」
「いや、だってカレー臭かったし。久しぶりって言っても久しぶりの雰囲気でもなかったし」
「せやけど、そこは空気読めって」
「そこの空気を読んで『カレー臭』やってん」
「あほやろ」
「あほやな」

私はこの関西人3人に囲まれて最大4年間しか過ごしていない。
それなのに・・・
なんだろうこの『普通』という空気感。
そして、関西弁が移っていく。鹿児島弁と関西弁が混じって、昔へと戻っていく。


やっとスピーチがきた。
ほぼ、日記のまんま。
だからと言って練習もしていない。
棒読みでもなく、感情が入りすぎてアドリブを詰め込みすぎたスピーチは会場と一体化してしまった。
申し訳なく長かった。

「長すぎ」
「力入りすぎた」
「よぉ、お疲れさん」

カチン。

「お前、いつの間に、よぅあんなん喋れるなったん」
「わからん。なるように喋っただけよ」
「なるか」
「俺なら100譲ってもせんわ」
「頼まれたらやりつくすだけだって」
「そこがkootだから新郎も頼んだんだろうな」
「あぁ、なるほど」
「なんかわかるわ」


披露宴後の4人で2次会。

思い出話もあれば、真面目に仕事、政治の話もして。

35歳の私達は20代の時と変わらない。
20代で思い描いていた35歳とはまるで違う。

「多分、俺ら50歳で再会してもこのまんまなんやろなぁ」
「かわらんな」
「50歳でこのテンションはアカンな」
「アカンな」

笑いすぎて顎が砕けたかと思った。
言葉で会って、空気で会う。

書き綴れない幸せな時間は凄まじい勢いで過ぎて行った。


2016年11月13日。
東京から帰省。

東京。
日本の中心であって、再会の場所であり、また思い出の一部として刻まれた。

今回の挙式にて数十年後にも語り継がれるであろう名言が生まれた。

籍を入れた7月11日に纏わる新郎の一言。
奈々ちゃん、つまでも緒にいようね」
全員で寒気を感じた。

「あいつ、こんなん言う奴やったっけ?」
「いや、あいつは偽者や」
「違う挙式に来てもうてん」
「別人やろ」

追加で生まれた迷言。
「ろっぽーんーぎーで、すーしーとピーザをたーべーに」
芸能人ぶったら、こうなる私達。

いつまでも変わらない単純な馬鹿達。

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