2016年12月21日水曜日

204日目:当事

太陽の中心が冬至点を通過し、北半球では一年中で昼がいちばん短く、夜がいちばん長くなる。

貴方は、しっかりゆず湯に浸かりましたか?


眼を閉じて、風呂一杯に広がった柚子の香りを一息に吸う。

「はぁ~、なんだったんだあれは・・・」

昨年は、柚子湯の柚子をムスメとボロボロに破壊し、浴槽を壊しかけた。
今年は、一人。
妻もムスメも入った後で、一人日中の出来事を思い返す。

嗅覚を失いかけていたが、ここ最近は調子がいい。
手のひら大の柚子を掴んで軽く絞る。

やっぱり柚子だ。
柑橘の爽やかな香りが鼻を通り抜ける。

「はぁ~、爽やかかな、爽やかかな」
「でも、あれはないだろう」

ぶつくさと独り言が増える一人の風呂。


日中の光が少ない本日。
お客様の所へ年末の挨拶回りをしていた。

1軒目を終え、2軒目に走ろうとするとき。

上がった・・・
滅多にない。
バッテリーあがりだ。

「なんでこんなときに、あがってんだよ!」

焦りと裏腹に車はいう事を聞いてはくれなかった。

仕方なく、レスキューを呼んだ。
30分待ち。

運転席を倒して寝るしかない。
暇だから。
こういう時にこそ、自分リチャージ。

窓を開けられない車内は冬至でも暑いことを知る。
汗が・・・
そして、こういう時に限って眠れない。

頭に掲げていた腕が痺れ始めた頃にレスキューがきた。

そして、すぐにジャンピング。
即行でエンジン始動。

やっぱりバッテリーだった。

「予兆はありましたか?」
「ありました」

ありましたって言った自分にウケた。
笑ってはいけない所で笑ってしまった。
最近、もたついてたから『来る』って思ってたけど、朝ではなくて昼に来るとは。1時間以上走らせて、たった10分放置しただけでバッテリーが上がるとは予想だにしていなかった。
保険屋が予想外の出来事に遭う。
ツボだった。

そういう余計な事を考えていたら、「ありました」の言葉が面白すぎて、
「ジャンピング道具買うかなぁ」
とかレスキューさんと話してしまった。

勿論買わない。

ノリだ。


エンジンはつけたままで挨拶回りを済ませ、バジェさんに電話を入れる。

「バッテリーの安いお店知らない?」
「うちにあるよー」
「いくー」

さすが、バジェさん。
颯爽と交換して、洗車までして頂いた。
今回もありがとうござました。


柚子が眼に染みる。
恥ずかしい一日を思い出してしまう。

「普通上がるか~」
「時間がないってのに~」
「あ~災難だわ~」

ぶつくさ・・・

独りの夜は長い。

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