著:中島敦
作:李陵
読了。
すこぶる面白さだった。
人間にはふさわしい事件しか起こらない。
見てない様で天は見ている。
数奇的「運命」という事実を感じる作品だった。
私は、漢書や人物書には全くもって興味が無い。
そう、根拠という物が薄いからだ。
しかし、司馬遷登場以来、見方が変わった。
司馬遷にも見方次第で意見が異なることは知っている。
漢書からの抜粋であっても、司馬遷に対する刑の重さに対する描写の中で、中島敦の激しい憤りを感じる箇所が著しく多い。
多分に、司馬遷に敬意を持っていたのだろう。
「李陵」に関しては資料不足の中でも心中の筆力に圧倒された。
蘇武との関係はまさに、「運命」に相対する二人の男の価値観の違いをまざまざと感じる。
「運命」か・・・
確かに私も数奇な運命で今の所以がある。
ムスメの体調不良により、病院に連れて行き、寝かしつけその間に「李陵」の読書。
中耳炎だった。
悪質な中耳炎には何度も対応しているが、今月、師走の月曜日に限って仕事を休まなくてはならなかったのは、痛恨の悲劇だと思った。
クビ寸前だから。
しかし、今日、このように本を読む時間を「くれた」ムスメに感謝しよう。
私にとっては、もう数字なんてどうでもいいやの一言に尽きる。
これも、「運命」だろうと受け止める覚悟があるのだから。
肩の荷が落ちた気がする。
0 件のコメント:
コメントを投稿