死に急ぐような事象を乗り越えてみると、涙腺は意外とドライになる。
現に私は、簡単には泣かない。
3月25日。
娘は無事に卒園を迎え、4月1日以降小学生となる。
予定だ。
卒園式当日。
我が子の今までとこれからの成長を想い、子供達の苦難を乗り越え、楽しんできた日常を振り返る卒園式。
様々な催し物を目の当たりにし、泣く…
という気配もなく、家族では妻だけが泣き、涙腺の堅い私と娘はドライに園を後にした。
そう、クール(so cool)に先生方に挨拶をし、園を去ったのだった。
それが卒園式の思い出。
卒園してから数日後の昨夜。
菓子パ(1ヶ月に数度。お菓子や肴を広げて夫婦はお酒、娘はジュースを飲む。要は料理する事が面倒な時に使う業)を行った。
よくアニメを見ながら、アニメについて語らう菓子パなのだが、昨夜だけはTVを点けず、飲みながら、食べ散らしながら語らいの場となった。
なんの拍子だっただろうか。
酔っていたから、よくは覚えていない。
しかし。
これだけは覚えている。
「パパとママの子供でよかった~♪」
娘のセリフ。
「・・・。全く何言ってんだか」
(なんだったんだ…)
何と無しに飲みきった焼酎のおかわりを作りに、なんとなしの足早でキッチンへ。
「何?え?泣く?ってか泣いてない?!」
空気読めよ、妻。
「はぁ?!誰が。」
「ねぇ。」
「今のは、ねぇ」
親子して、苛めるのかコイツら…
まぁ、いい。
6歳の娘の口から、「菓子パをしてくれてありがとう」というような煽てにも、ああいうセリフを頂けたのは親として嬉しいことに違いは無い。
焼酎のおかわりを作り終えテーブルへ戻ろうとしたとき、園と一緒に荷物と親の想いを運んでくれた、しっぽりと草臥れた鞄を目にした。
ジャラジャラと付けたキーホルダー類が目に付く。
(これは…あの時の…)
産まれた時に働いていた時の販促品。
その後の、販促品。
いらないだろうなと思っていた、私の歴史もジャラジャラくっ付いていた。
それ以外にも、祖父母や友人に貰ったジャラジャラが目立つ。
私達家族以外からの助けがあっての今。
であり、今からの鞄についたキーホルダー。
なんだろう。な。
あぁ。
今年の花粉は昨年の4倍だったっけか。
昨年は、一昨年の何倍だったか。
何が基準なんだか分からない花粉たち。
それともアニメとソシャゲのしすぎのドライアイか。
目が潤んで仕方がない昨夜。
年度末に想いを寄せた。
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